30年後の同窓会(Last Flag Flying)


あらすじ:2003年12月。息子が戦死したと告げられたラリー(通称ドク)(スティーブ・カレル)は、かつての戦友サル(ブライアン・クランストン)とミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)に会いに行く。


可愛いおじさん達のロードムービーです。3人とも愛嬌の暴力。

ローレンス・フィッシュバーンは「ジョン・ウィック2」でハト飛ばしてる印象しかなかったけど、サルとの掛け合いの中で昔の悪魔が出てきちゃう神父さん、というキャラクターが良い。
スティーブ・カレルは、結構好きな映画によく出てます。「フォックス・キャッチャー」とか「マネー・ショート」とか。今回の役は、本当に辛い立場なんだけど、そう言う時にちゃんと人に頼ることができる人って素晴らしいと思えました。
そしてブライアン・クランストン。最高です。「ブレイキング・バッド」のウォルター先生のシリアスさはなく、「トランボ」とは違った類の愛嬌が炸裂してた。沈黙が続くと真っ先に喋る、手遊びする。目の前にお菓子あったらポッケに入れる。両手にビール抱えて席に着く頃には片方は飲み終わってる。全部可愛いな。そして全てにおいてだらしなさそうなのにドクのことをいつも気にかけている優しさ…あと個人的に(これ書くの何度目かと思いますが)うちの祖父さんに結構似ているので元々親近感があります。
この映画で誰になりたいかと言われたら絶対に携帯ショップのお姉ちゃんだ。あんなに楽しそうに携帯買うおじさんたち目の前で見たいし「一緒に契約すると通話無料なの?ニューハンプシャーとヴァージニアくらい離れてても!?」とか聞かれたい!

「30年後の同窓会」という邦題も決して間違いではないけど、この映画のテーマは「アメリカの二つの戦争の苦しみ」だと思うので、邦題だけしか知らないと、いい意味で期待を裏切られます。
かの戦争で「一体俺たちは何をしてたんだろう?」という答えが出ない問いと、それでも国を愛してるし、戦争中の思い出話とかすごく楽しそうにしちゃうこととが、ぴったりと表裏一体になってるのがかなり辛い。しかも子どもの世代も同じことをさせてしまっている。
「あの時ああしていれば、こんなことには」の積み重ねで人間はできているけど、そこにも救いがある話になってて、私はこういう話がとても好き。

東京ですら公開してる映画館が少ないのですが(シャンテは6/28までらしい!)、本当におすすめなので、おじさんたちの可愛さとか人生の悲哀とか噛み締めながら観てほしいです。ちなみに私は別におじさん好きではないはずです。

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